記憶。
ふとしたときに探し物が見つかって嬉しくなるあの感じ
人間の脳は非常に良くできた記憶媒体だ。キャパオーバーでパンクしてしまわないよう、常にデータの整理が行われている。だが、整理のためにデータが削除されてしまうということは決して無く、どんなに些細なデータでも削除されることなくきっとどこかに残っているのだろう。そしてそれはふとしたときに呼び起こされる。
たまたま入った定食屋にあった灰皿。
懐かしい。遥か昔に父が使っていたものと同じだ。
セブンスター、ウイスキー、洋画、The Beatlesのカセットテープ、トヨタカリーナ、若い頃の父、幼い頃の記憶が一気に甦る。単純にこの灰皿のデザインがカッコよくて好きだったのか?それともそれら全体のアダルトな雰囲気がカッコよくて好きだったのか?おそらく後者だろう。
この灰皿を目にすることが無ければ、この記憶が呼び起こされることは一生無かったに違いない。でも甦った。データは記憶媒体のどこかに眠っていたのである。
これからはもっとたくさんの景色を見て、もっとたくさんの物に触れ、新しい記憶を増やしながら今までの記憶を更新していこう。
父は健在です。